贈与・生前贈与 2020.07.13
生前贈与は申告しないと、ばれるのか
相続税対策として有効といわれている生前贈与ですが、人によっては節税と脱税の境界線を越えてしまっている人が時々いるように感じます。
「生前贈与は申告しなくてもばれない」そんな風に考えている方はいませんでしょうか?
そこで本記事では、生前贈与を申告しないとどうなるのかについて詳しく解説します。
生前贈与と贈与税
そもそも生前贈与とは、自分自身が生きているうちに他人へ財産を贈与することで、贈与された側には贈与税が課税されます。贈与税には年間110万円までの非課税枠があるので、その枠内であれば贈与税の申告は必要ありません。
ただし、次のようなケースでは110万円以下だとしても後で贈与税がまとめて課税される可能性がありますので注意が必要です。
定期贈与に注意
贈与税の基礎控除は年間110万円ですが、それはあくまで年間の金額です。
例えば、生前贈与をする際に110万円の非課税枠をフルに使い続けることで、10年間で1,100万円を贈与税申告することなく非課税で贈与できます。
ところが、このように定期的に一定額を贈与している場合、税務署側から「定期贈与」の指摘を受けることがあるため注意しなければなりません。定期贈与とは、一定額を一定期間にわたって贈与することを決めて行っている贈与のことで、1,100万円を10回にわけて贈与するというものです。
この場合、当初から1,100万円を贈与する予定だったとして、1,100万円から基礎控除の110万円を差し引いた990万円に対して贈与税が課税されます。
贈与税の納税期限
贈与税は贈与を受けた人が納税するものですが、そもそもいつまでが期限なのでしょうか。
贈与税の申告および納税は、贈与を受けた次の年の2月1日から3月15日までの間に確定申告して納税をします。
納税期限を過ぎてしまうと、延滞税が加算されたり悪質とみなされたりした場合は重加算税なども課税される場合もありますので注意が必要です。
生前贈与は申告しなくてもばれない?
贈与税はこちらから申告をしなくても、すぐに税務署側から問い合わせが来ることはあまりありません。そのため、生前贈与は申告しなくてもごまかせると思っている人が時々いるのですが、そんなに甘いものではありません。
生前贈与によるお金の動きは、その時すぐにばれなかったとしても贈与者に相続が発生した時にばれることになります。というのも、相続が発生すると最長で過去10年さかのぼって預金口座のお金の動きをチェックされます。
ですから、銀行口座の送金履歴などが出てこればすぐに生前贈与がばれてしまうのです。
現金手渡しでもばれる理由
こういう話をすると、現金で生前贈与すれば申告しなくてもばれないという人がいるのですが、決してそんなことはありません。現金であっても相続が発生した時にはすべてを細かく確認されます。
現金手渡しとなれば、必ずどこかで預金口座から引き出した痕跡が残ります。税務署はこういった引き出した後にお金が何に使われたのかを細かく確認するので、引き出した後のお金を現金で贈与していることは簡単にばれてしまうのです。
過去の税務調査でも、大量のタンス預金が発見された事例がありました。隠しても必ず税務調査で見つかりますので、必ず生前贈与した場合は申告する必要があります。
申告しないペナルティは大きい
生前贈与を申告しないでおいて、最終的に贈与者の相続の時にばれると当時の贈与税の申告期限に遡って延滞税や無申告加算税などが課税されるため、税額にすると相当な金額に上ります。
その都度申告していれば、そこまで大きな金額にならなくても相続の時にまとめて発覚すると納税額だけでかなりの金額になってしまうのです。生前贈与は必ずばれますので、絶対に申告しましょう。
生前贈与の正しい使い方
生前贈与を正しく活用すれば、脱税ではなく「節税」によって将来発生する相続税を合法的に節税することができます。
相続税と贈与税の税率だけ比較すると、贈与税の方が高い印象を持たれるかもしれませんが、そもそも相続税は相続財産にまとめて課税されるため税額にするとかなりの金額が一度に課税されることになります。
対して贈与税であれば、複数年に分散して生前贈与することによって発生する贈与税を分散させられますし、何より計画的に行えるので納税資金の準備が間に合わないという心配もありません。
まとめ
生前贈与は相続対策としてとても有効ですが、一歩間違えると脱税になってしまいます。現金による贈与であればばれないと安易に考えていると、相続が発生した時にまとめて高額な税金が課税されるので大変危険です。
危ない橋を渡って脱税するのではなく、計画的な生前贈与によって合法的に節税することを徹底させましょう。
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