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相続人がアメリカ国籍だとどうなる?

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アメリカ国籍の相続人も、通常通りの相続が可能

日本国籍とアメリカ国籍の両方を有している相続人、または日本国籍を失っており、アメリカ国籍のみとなっている相続人でも、日本人の場合と同様に相続することが可能です。

 

アメリカ国籍の相続人がいる場合でも、次のように通常通りの流れで相続は進んでいきます。

1.相続人の範囲を確定する

2.遺言書の有無を調査する

3.相続財産の調査を行う

4.相続するかしないかを、各相続人が決定する

5.遺産相続の分配について、相続人の間で協議する

6.遺産分割協議書を作成する

7.遺産分割協議書に従い、遺産を分配する

 

このように、アメリカ国籍の相続人を含めて相続の手続きは行われていきます。アメリカ国籍であることで異例の対応が必要になるポイントの多くは、必要書類についてでしょう。

アメリカ国籍の相続人が、いまだに日本国籍を有しているかどうかにもよりますが、アメリカ国籍の相続人は、日本国内で印鑑証明書を発行したり、戸籍を取得したりすることが出来ません。これらに代わる正式な公的書類を準備することになります。

また、アメリカ国籍の相続人が日本語に堪能でなく、日本語の理解に限界がある場合は、忠実に翻訳された遺産分割協議書などの書類を用意したり、通訳者を用意したりする必要も生じるでしょう。

 

アメリカ国籍の相続人の相続手続きに必要となる書類

では実際に、アメリカ国籍の相続人が日本での相続を行う場合に必要になる書類の一例をご紹介します。アメリカ国籍の相続人の個々の状況によっては、これよりも多くの書類が必要になる場合があります。

1.署名証明書(サイン証明書)

アメリカ国籍の相続人が日本国内に住所を持っていない場合、印鑑証明書を取得することはできません。しかし印鑑証明書は、遺産分割協議書に添付する書類としてどうしても必要なものです。

この場合、アメリカ国籍の相続人が提出する代替書類としては、署名証明書(サイン証明書)が有効です。

アメリカでは印鑑を使う文化がないため、印鑑証明書と同等の公的書類として署名証明書が使用できます。署名証明書は、アメリカの日本大使館や総領事館で取得できます。

なお、署名証明書は、アメリカ国籍と日本国籍を二重に有している場合のみ申請が可能です。

アメリカ国籍のみで日本国籍を失っている場合は、失効した日本国パスポートや戸籍謄本などを持参して「元日本人」であることを証明できれば、署名証明書を発行してもらえる場合があります。

2.在留証明書

日本で言うところの住民票のような役割を持つのが、在留証明書です。アメリカ国籍の相続人が、アメリカ国内のどこに住所を有しているか、あるいは有していたかを証明するものです。

発行条件は、アメリカ国籍の相続人が現地にすでに3ヶ月以上滞在しており、現在も居住していることです。基本的に、証明を必要とする本人が在外公館へ出向いて申請することが必要です。

在留証明書も、アメリカ国籍と日本国籍を二重に有している場合のみ申請できます。アメリカ国籍のみで日本国籍を失っている場合は、例外的措置として代替書類の「居住証明書」が発行される場合があります。

3.除籍謄本

日本国籍がなく、アメリカ国籍のみとなっている場合は、日本の戸籍上は「除籍」となっています。

そこで、アメリカ国籍になる前は確かに日本の戸籍を持っていたことを証明するために「除籍謄本」を取得します。除籍謄本は、最後の本籍地を置いていた日本の市区町村役場で取得します。

 

まとめ

アメリカ国籍を持つ相続人でも、日本人の相続人と同じように相続に加わることが可能です。

用意しなければならない書類はたくさんありますが、日本語がしっかり理解できる場合はそれほど煩雑な手続きとはならないでしょう。

なお、二重に国籍を持っていることで、書類の準備はとても楽になります。今後相続をする可能性があり、アメリカ国籍の取得を計画している子供がいる場合は、国籍を留保して二重国籍にしておくことを検討するのも良いかもしれません。