相続税 2017.10.02
相続税に強い税理士の特徴
相続税について相談する専門家としては、当然ながら税理士が思い浮かびます。ところが、すべての税理士が相続税に詳しいとは限りません。
そこで今回は、相続税に強い税理士の特徴や見分け方について解説します。
相続税に強い税理士とは
税理士といえば税金の専門家ですから、相続税に限らず所得税、法人税などあらゆる税金に精通しているはずです。ただ、どんな税理士にも「得意分野」や「専門分野」といったジャンルがあるケースが殆どです。
例えば、医者の場合、同じ医師免許であっても、内科、外科、小児科など様々なジャンルがあります。
内科の先生に皮膚のことを聞いても、それは皮膚科に行ってくださいと言われるのと同じで、税理士にも本当は得意分野、専門分野といったものが存在しているのです。
税理士の場合、相続税が全くわからないという税理士はいないでしょう。ただ、経験が少ないというケースはよくあり、それが不得意の原因であることが多いのです。
税理士によって相続税の取り扱い件数に差が出る
相続税については平成27年から基礎控除額が引き下げられて課税範囲が拡大したため、今後は相続税の課税対象者は増えることが見込まれます。ただ、以前については、相続税は一部の家庭にのみ関係があるような税金でした。
そのため、相続税については代々地主に信頼されてきた一部の税理士に依頼が集中し、それ以外の税理士については、相続税に触れる機会が少ないという状況が発生していました。
これにより、相続税の経験豊富な税理士と経験が少ない税理士が存在することになったのです。
相続税を得意としている税理士の特徴
相続税を得意としている税理士については、次のような点に着目して見分けることができます。
・ホームページで相続税の申告実績を掲載している
相続税が得意で集客をしている場合は、ホームページに過去の実績などが掲載されています。相続税が得意かどうかを見分ける目安としては、個人の税理士事務所の場合で、年間およそ10件以上の相続税申告件数があれば、その税理士については相続税について強いと考えて良いでしょう。
・親子で続いている税理士事務所
相続税については毎年の確定申告業務以上に、長期継続的なサポートがポイントとなります。特に生前贈与や相続時精算課税制度などを活用して、節税している場合については、税理士自身の一生をかけて長期的にサポートしていくことになります。
よって、相続税に力を入れている税理士事務所は、親子二代にわたるくらい長きにわたって相手との信頼と実績を構築している可能性が高いです。
・財産評価に強い
相続税申告の具体的な業務の中で、税理士のスキルが最も問われる部分が「財産評価」です。
特に土地の相続については、相続税を課税するにあたって、税理士が算定した評価額に応じて相続税が変化してくるためとても重要です。
土地は面積が同じでも土地の形状や近隣環境などの影響により、一般的な評価額から減額をすることができます。
そして、どの程度評価額を削減できるのかについては、国税庁からの評価通達などはあるものの、最終的には担当する税理士の判断によって大きく異なってきます。
相続税に強い税理士は、ワンストップサポートが多い
相続というと相続税申告だけではなく、遺言書の執行や遺産分割協議、相続登記などやらなければならないことは沢山あります。けれども、これらの手続きをそれぞれ対応している専門家である弁護士、司法書士、行政書士、土地家屋調査士などについては、手続きに応じて個別に依頼しなければならず、これがかなりの手間となります。
相続税に強い税理士の場合、相続に関連する手続きを他の専門家と提携してワンストップで対応していることが多いため、ホームページを見る際にはこの点についてもよく確認しましょう。
相続税に強い税理士は税務調査にも強い
相続税については、税額も他の税務申告に比べて高額になることから、税務調査が入りやすい傾向にあります。相続税に強い税理士は、自分が申告したものはもちろんの事、他の税理士や本人自らが申告したものについても、依頼すれば税務調査に立ち会ってもらうことができます。
税務調査では、様々な点を税務署の職員が追求してきますが、相続税の経験が豊富な税理士であれば、税務署のいいなりにならず、適切に主張してくれます。
そもそも相続税に強い税理士の相続税申告は、税務調査の対象になりにくいのですが、評価額が難しい土地などについては、後から税務署からチェックが入る可能性もありますので十分注意しましょう。
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