相続税 2017.10.04

相続税の申告期限はいつまで?注意点をおさらいしよう。

家族が亡くなったとき、残されたあなたはどのような手続きをする必要があるのかご存知ですか?
相続税の申告に関する手続きを知らずに、申告期限を過ぎてしまった場合、ペナルティとして税金が加算されてしまいます。
そこで、余計な税金を支払わずに済むよう、あらかじめ手続上の注意点をまとめてみました。

記事ライター:今井弁護士事務所

申告が必要な場合

相続税の申告と納税は、相続又は遺贈により取得した財産(被相続人の死亡前3年以内に被相続人から贈与により取得した財産を含みます。)及び相続時精算課税の適用を受けて贈与により取得した財産の額の合計額が遺産に係る基礎控除額を超える場合に必要です。(国税庁ホームページより引用)

つまり相続税とは、亡くなった人の財産を相続する際に支払わなくてはいけないものですが、その相続財産の金額が大きい場合にかかる税金のことです。 また、相続税を考えるうえで大事なのが「基礎控除」です。この基礎控除とは、残された相続財産が一定金額を超えなければ相続税を支払わなくてもよいというものです。

そして、平成27年の税制改正により、遺産に係る基礎控除額が大幅に減額されました。

改正前;5,000万円+1,000万円×法定相続人の数

改正後;3,000万円+600万円×法定相続人の数

例えば相続人が3人の場合は、3,000万円×600万円×3人=4,800万円となります。

では、申告が必要な場合の手続きをみていきましょう。

 

申告期限を知って計画的に動こう

相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10カ月以内に行うことになっています。

なお、この期限が土曜日、日曜日、祝日にあたる場合には、次の平日が期限となります。

例えば、2017年1月6日(金)に死亡した場合には、2017年11月6日(月)が申告期限になります。

2017年1月5日(木)に死亡した場合も、2017年11月5日が日曜日なので、同じく2017年11月6日(月)が申告期限になりますね。 死亡したことを知った日について、注意すべきなのは、基本的には「知った日=亡くなった日」と考えられている点です。亡くなったことを遅れて知る相続人もいるでしょうが、相続税の申告は相続人全員でする必要があり、各相続人によって申告期限がばらばらになると手続きが大変なので、このような運用になっています。

 

申告期限を過ぎてしまったら?

相続税の申告期限に間に合わなかった場合は、期限後申告書を提出することで相続税の申告は可能です。

しかし、冒頭で触れたように、余計な税金を払わなければなりません。

まず、納付すべき相続税があるにもかかわらず期限内に申告しなかったことについて、「無申告加算税」が課されます。

【無申告加算税の税率】

(1)申告期限後に、自主的に期限後申告をした場合

納付すべき税額に対して、5%の割合を乗じて計算した金額

(2)税務署の調査を受けて期限後申告をした場合

納付すべき税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した金額

(国税庁の参照ページ)

さらに、申告期限後の納付になったことについて、「延滞税」が課されます。

【延滞税の税率】

(1)納付期限の翌日から2カ月を経過する日まで:原則として年「7.3%」

(2)納付期限の翌日から2カ月を経過した日以後:原則として年「14.6%」

※延滞税の税率についての原則は上記のとおりですが、多くの例外があります。ここでは割愛しますが、国税庁のページをご参照ください。

このように、申告を忘れることで、本来の相続税に加えて、無申告加算税と延滞税を余計に支払わなければいけなくなります。申告期限内に申告・納付をすべきことがより現実味をもってイメージしていただけたかと思います。

 

相続税の申告方法

申告期限を把握したところで、簡単に申告方法について触れておきます。

相続税を申告する際には、まず申告書を作成する必要があります。

相続税の申告書には、第1表から第15表までの添付書類が存在し、適宜記入することになります。

また、申告書の他に、被相続人の全ての相続人を明らかにする戸籍の謄本(相続開始の日から10日を経過した日以後に作成されたもの)、遺言書の写し又は遺産分割協議書の写しなど、各種書類を揃える必要もあります。

そして、作成した申告書と添付書類を併せて税務署に提出すれば、相続税の申告が完了します。

国税庁の参照ページ

 

税理士や弁護士に依頼することも考えよう

家族が亡くなると、残された人は数多くの手続きに追われます。

お葬式はもちろんのこと、死亡届、公共料金の名義人変更、生命保険金の請求など、あわただしい日々となります。そのような中で、相続税の申告・納付も同時進行しなければならず、申告期限を過ぎてしまうと先に述べたようなペナルティを受けかねません。

このように、大変あわただしい時期に自ら手続きを行うことに不安を覚えた方も多いと思います。そんな方は税理士や弁護士に相談・依頼することを考えてみてはいかがでしょうか?ややこしい計算や手続きを代行してもらえますし、相続税に精通した専門家であれば、相続財産の評価方法を駆使して評価額を引き下げてもらえたり、効果的なアドバイスをいただけたりします。

法的リスクを回避するべく、専門家に依頼することも考えてみましょう。

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