相続税 2020.12.30
相続税は現金一括?払い方とは
相続税は他の税金とは異なり、事前に納付書が郵送されてくることはありません。
同様に、申請書類や相続税の払い方等、特に案内が届かない点も特徴的なので、相続が開始したら自分自身で申請と相続税の払い方について調べることが大切です。
また、現金一括のみと考えられている納付手段には、実は他の方法もあることは意外と知られていません。
そこでここでは、相続税の払い方について解説していきます。
相続税は現金一括納付が基本
相続税は、相続開始後10ヶ月以内に申告を行い、納付を済ませることになっています。
相続税の払い方は原則として現金一括となっているため、事前に資金を準備しておくことが大切です。
金融機関で納付をすることができ、領収証書も発行されるので不安要素は特にないといってもいいでしょう。
ただし、税務署からは、相続税の払い方に関する通知や納付書が送られて来ないので、その点は注意しましょう。自分で税務署へ出向き、直接納付書をもらう必要があるのです。
また、相続税の金額は、遺産総額と法定相続人それぞれの割合によって変わります。
つまり、相続人が複数名いる場合には、各人の相続税額が異なることも知っておきましょう。
相続税をクレジットカードで払うことはできるのか
平成29年から国税庁は「国税クレジットカードお支払いサイト」を開設しました。
これにより、金融機関等に出向くことができなくても、自宅にパソコンさえあれば相続税の支払いを済ませることができるようになりました。
まさに、相続税の払い方が大きく変わった時代だといえるでしょう。
利用できるカードブランドはVisa、Mastercard、American Express、Diners Club、JCB、TS CUBIC CARDと決まっていますが、大体のクレジットカードはカバーできているのではないでしょうか。相続税の払い方としても幅広く対応できることから、多くの人に利用されている方法です。
カード上限額に注意
相続税の払い方としてクレジットカードを利用できる点は画期的ですが、各クレジットカードには上限額が設定されているので、予め注意しましょう。
国税クレジットカードお支払いサイトとしても、利用限度を「カード上限額かつ相続税1,000万円未満」としていますので、事前の確認が欠かせません。
本人以外の人の分まで支払う連帯納税義務
税務署としては、ある相続人が納税できない場合、本人以外の相続人に対し連帯納税義務として納税を求めることがあります。「1人の相続人が相続税を払えない場合、他の相続人が代わりにその人の支払い分を負担し支払う必要がある」という仕組みを、連帯納税義務といいます。
このようなことが起こらないように、遺産分割協議の際には連帯納税義務についても話し合い、当該ケースを想定して、相続税の払い方について取り決めておくことが大切です。
相続税は分割払いができるのか
相続税の払い方として、「延納」という制度を利用すれば分割払いが可能となります。
ただし、原則的に現金一括で支払うべきところ、金銭での納付が困難だと判断された場合に限りますので注意しましょう。
例えば、相続財産と相続人所有の財産を合わせても相続税の支払いに不足するような場合は、相続税の払い方として延納制度を利用することが可能となります。延納が認められると、毎年少しずつ相続税を納めることができるので、負担がかなり軽くなるでしょう。
ただし、相続税額が10万円以下である場合は除外されます。延納の可否については、個々のケースを検証した上で決定されます。
遺産から払う
相続税を納めることが難しいケースとして、次の2つが挙げられます。
1:不動産しか財産がない場合
被相続人が残した財産が不動産だけだった場合、相続税の払い方として自ら多額の現金を用意しなければならず、大きな困難となる可能性があります。
2:不動産に加え相続する預貯金等の額が少なすぎる場合
不動産と預貯金のどちらも相続するケースは多いですが、不動産の評価額は高額でも預貯金の額が少なすぎる、ということは少なくありません。こういった場合の相続税の払い方としては、不動産を売却して現金を作り納付する、という方法がベストになってくるでしょう。
しかし、相続した不動産が自宅で処分できない場合の相続税の払い方を考えれば、延納制度を利用して分割払いにする方法が選択肢の1つになりそうです。このことは簡単な判断ではないうえ、法律も絡む問題なので、1人で悩まず相続問題に詳しい税理士等に相談し取り組むことも必要になってきます。
まとめ
相続税は免除されるものではないため、自らの相続税の払い方について、10ヶ月間の申請期間のうちによく検討し具体的な方針を決めなければなりません。
相続税の払い方は原則として「現金一括払い」ではありますが、個々のケースに応じて延納(分割払い)という方法も用意されています。税理士等の専門家の力も借りながら、期限内にきちんと対策が採れるよう、早めに相談することも大切になってくるでしょう。
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