土地・不動産 2018.05.12
土地を等価交換した場合の確定申告について紹介
土地を等価交換によって譲渡する場合には、譲渡益に対して税金が課されます。しかし、確定申告で税制特例を申請することで、納税の繰り延べなどの特例が適用される場合があります。
確定申告をする前には、特例を受けるために満たすべき要件を確認しておくことが重要です。ここでは、土地を等価交換した場合に確定申告で申告する税金と、確定申告で申請できる特例についてご紹介します。
土地を等価交換した場合に確定申告で申告する税金
土地を等価交換で譲渡した場合には、所得税と住民税についての確定申告をします。
個人が、等価交換で土地や建物といった不動産を譲渡した際の譲渡所得は分離課税のため、確定申告の際には他の所得と切り離して税額が計算されます。
等価交換で土地や建物を譲渡した場合の税率は、対象の不動産を所有していた期間に応じて、次のようになります。
1.長期譲渡所得
課税長期譲渡所得金額 × 15% =所得税額
課税長期譲渡所得金額 × 5% =住民税額
例:課税長期譲渡所得が3,000万円の場合の税額
所得税額 = 3,000万円 × 15% = 450万円
住民税額 = 3,000万円 × 5% = 150万円
長期譲渡取得に該当するのは、土地を等価交換によって譲渡した年の1月1日時点で、土地を所有していたのが5年以上の場合です。期間の計算の基準が、譲渡した年の1月1日であることに要注意です。
例えば、5年前の4月1日に取得した土地を、満5年となる5年後の4月1日に等価交換によって譲渡しても、譲渡した年の1月1日時点ではまだ満5年は経過していないため、長期譲渡には該当しなくなります。
2.短期譲渡所得
課税短期譲渡所得金額 × 30%=所得税額
課税短期譲渡所得金額 × 9% =住民税額
例:課税短期譲渡所得が3,000万円の場合の税額
所得税額 = 3,000万円 × 30% = 900万円
住民税額 = 3,000万円 × 9% = 270万円
短期譲渡とみなされるのは、等価交換する土地の保有期間が5年未満の場合です。長期譲渡の場合と比較して、所得税も住民税も大幅に高くなります。上記の税率は特例や改正によって変動する場合があります。
土地を等価交換した場合の確定申告における税制特例
個人が土地を等価交換によって譲渡した場合には、確定申告の際に申請できる税制特例があります。確定申告でよく用いられる特例の代表格は「固定資産の交換の特例」です。
「固定資産の交換の特例」とは、土地や建物などの固定資産を同じ種類の固定資産と交換した場合に、譲渡がなかったものとして課税を繰り延べる制度です。
確定申告で固定資産の交換の特例を受けるためには、次の要件をすべて満たしている必要があります。
1. 等価交換により譲渡する資産及び取得する資産は、いずれも固定資産であること。
(不動産業者が販売のために所有している土地などの資産は棚卸資産であり、固定資産ではないため、確定申告における固定資産の交換の特例の対象になりません)
2. 等価交換により譲渡する資産及び取得する資産は、いずれも土地と土地、建物と建物のように互いに同じ種類の資産であること。
(借地権は土地に含まれ、建物に附属する設備及び構築物は建物に含まれます)
3. 等価交換により譲渡する土地は、1年以上所有していたものであること。
4. 等価交換により取得する土地は、等価交換の相手が1年以上所有していたものであり、かつ等価交換のために取得したものでないこと。
(等価交換をする相手が、最初から等価交換によって取引することを目的として所有していた土地の場合には適用されません)
5. 等価交換により取得する土地を、譲渡する土地の交換直前の用途と同じ用途に使用すること。
(宅地は宅地として、山林は山林としてなど、等価交換する前と後の土地の用途が一貫していなければなりません)
6. 等価交換により譲渡する土地の時価と、等価交換により新たに取得する土地の時価との差額が、これらの時価のうち、いずれか高い方の価額の20%以内であること。
確定申告で固定資産の交換の特例が受けられる場合でも、土地の等価交換によって相手から金銭などを受け取っている場合には、受け取った金銭に対して所得税が課されます。
確定申告で固定資産の交換の特例を受けるには、確定申告書に必要事項を記入し、譲渡所得の内訳書を添付して確定申告をする必要があります。
まとめ
土地を等価交換した場合には、確定申告で所得税と住民税を申告します。固定資産の交換の特例の要件を満たしていれば、確定申告することで特例を適用してもらえる可能性もあります。
税制特例には細かい要件があり、非常に複雑なため、確定申告で特例を確実に適用させたい場合は、税理士に相談した方が良いでしょう。
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