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相続した土地の評価方法と土地の評価額が減額されるケース

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相続した土地の評価方法は大きく2つ

相続税における土地の評価額は売買価格ではない

相続税は、遺産の合計額がどれくらいかによって、課税の有無や税額が変わってきます。相続税を計算するためには、遺産の合計額を出さなければなりません。

遺産の中でも、評価が複雑なのが土地です。土地の評価額は、「一物四価」または「一物五価」と言われるように、何種類もあります。土地の評価額のうち、最もなじみがあるのが土地を売買するときの価格ですが、相続税は売買価格を基準に計算するわけではありません。

相続税の土地評価額は路線価方式または倍率方式で算出

相続する土地の多くは宅地だと思いますが、宅地については次の2つの評価方法があります。

①路線価方式

宅地の面する道路ごとに定められた路線価を基準にして土地の評価額を算出する方法です。市街地では、路線価方式で土地を評価します。

②倍率方式

固定資産評価額に地域ごとに定められた倍率をかけて、土地の評価額を算出する方法です。

 

相続した土地の評価額はどんな場合に減額する?

路線価方式で土地の評価額が減額するケース

路線価は土地1平方メートルあたりの価格なので、土地の面積をかけて評価額を算出します。ただし、単純に面積をかけるだけでは、適切な評価額を出すことはできません。

土地というのは、形状や奥行、道路との位置関係などで利便性が変わります。利便性が高い土地は評価額が増額し、利便性の低い土地は評価額が減額します。

路線価方式では、路線価に様々な補正を加えて、評価額を算出します。たとえば、間口が狭く奥行が長い土地は、評価額が減額します。また、長方形や正方形になっていない不整形地やがけ地なども評価額が減額になります。

倍率方式で評価額が減額するケース

倍率方式で使う固定資産評価額には、土地の形状などの個別の事情は既に織り込まれています。倍率方式では、路線価方式のように補正を加えて、増額や減額をする必要はないことになります。

 

相続した土地の評価額を減額できる小規模宅地等の特例とは?

小規模宅地等の特例が適用されるケース

親族が相続した土地が、特定居住用宅地等、特定事業用宅地等、貸付事業用宅地等、特定同族会社事業用宅地等に該当する場合には、小規模宅地等の特例により、土地の評価額が大幅に減額されます。

①特定居住用宅地等

被相続人または同一生計の親族の居住用土地で、330平方メートルを限度に、評価額が80%減額になります。取得した親族が次のような条件をみたす場合にのみ適用されます。

取得者 取得者の条件
配偶者 なし
被相続人の同居親族 申告期限まで引き続き所有し、居住している
被相続人の非同居親族(※被相続人に配偶者・同居親族がないケース) 過去3年間自己所有の家がなく、配偶者、3親等以内の親族、特別の関係のある法人の所有する家にも住んだことがない

相続開始時に居住していた家屋を過去に所有していたことがない

被相続人と同一生計の親族 申告期限まで引き続き所有し、相続開始前から申告期限まで引き続き居住している

②特定事業用宅地等

被相続人または同一生計の親族が事業(不動産貸付業を除く)に使っていた宅地等で、400平方メートルを限度とし、80%減額になります。土地を取得した親族が、申告期限まで引き続き所有し、かつ、その事業を営んでいれば適用されます。

③貸付事業用宅地等

被相続人または同一生計の親族が不動産貸付事業に使用していた宅地等で、200平方メートルまでが、50%減額になります。土地を取得した親族が、申告期限まで引き続き所有し、かつその事業を営んでいれば適用されます。

なお、平成30年4月1日以降の相続では、当面の間、相続開始前3年以内に貸付事業を始めた土地は減額にならない措置が設けられています。

④特定同族会社事業用宅地等

被相続人または同一生計の親族の持株割合が50%超である同族会社が事業(不動産貸付業を除く)に使っていた宅地等で、400平方メートルまでが、80%減額になります。同族会社の役員である親族が取得し、申告期限まで引き続き所有していれば適用されます。

評価額減額により税額なしになる場合でも申告が必要

小規模宅地等の特例により、土地の評価額が減額し、相続税額がゼロになることがあります。この場合でも、申告期限までに相続税の申告をしなければ、特例の適用が受けられませんから注意しておきましょう。

小規模宅地等の特例の適用を受けるには、相続税申告書に特例の適用を受ける旨を記載し、計算の明細書や遺産分割協議書の写しなど所定の書類を添付する必要があります。