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遺言執行者に資格は必要なのか、なれる人と権限を徹底解説

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遺言執行者ってなに?

「遺言執行者がなにかわからない」「聞いたことがない」という方も多いのではないでしょうか。

遺言執行者とは、本人の死後に遺言書の内容に従って遺産分割の手続きをする人のことをいいます。

一般的には遺言書作成や保管を行っていた弁護士や司法書士、行政書士などの資格者がやることが多いですが、必ずしも資格者でなければできないというわけではありません。

法的には、遺言執行者になるために特別な資格は必要ありません。

遺言執行者はどうやって決める?

遺言執行者を決めるのは、遺言書を書いている本人です。つまり、自分の書いた遺言書の内容を実現するために、手続きをしてくれる人を遺言書に書いておくということです。

遺言執行者は絶対に決めなければならないわけではないので、遺言執行者について指定をしていない遺言書を作成したとしても法的には有効となります。

ただし、次の事項について遺言書に書く場合については、遺言執行者を指定していないと実現できませんので注意が必要です。

・遺言認知

遺言書で認知することを遺言認知といいます。生前に認知すればいい話ですが、家族がいる手前どうしてもできないという方が遺言書で認知する場合は、必ず遺言執行者を定める必要があります。

・相続廃除

生前に推定相続人から虐待など一定の行為を受けていた場合は、家庭裁判所に申し立てをして相続人から除外してもらうことが可能です。これを相続廃除といいます。

遺言書で相続廃除することも可能ですが、遺言執行者の指定が必要です。

また、反対に廃除の取り消しをする場合も同様となります。

これらのケースに該当する場合は、必ず遺言執行者を遺言書に記載して権限をあたえておく必要があります。

 

未成年は遺言執行者になれるのか

遺言執行者は基本的に資格者である必要はないので、遺言書を書く人が好きな人を指定することが可能です。ただし、次の2つのいずれかに該当する場合は遺言執行者になることができません。

未成年者

遺言執行という重要な仕事を任されることになるので、未成年の方については遺言執行者になることができません。

ただし、未成年かどうかの判断の基準は遺言書作成時点ではありません。

例えば、長男を遺言執行者に指定したいと思った場合、遺言書を書いている日の年齢が18歳だとしても、自分が死亡した時に20歳になっていれば問題なく遺言執行者になることができます。

この点を踏まえて、遺言執行者を誰にするのか決めることが大切です。

破産者

自己破産した人については、他人の財産を安全に取り扱えるか不安が残るので遺言執行者になることができません。これについても先ほどと同じで、相続が発生した時の状況で判断します。

 

遺言執行者に報酬は必要?

遺言執行者を指定した場合、報酬を支払う必要はあるのでしょうか。

法的には遺言執行者に報酬を支払う義務はありませんが、一般的には弁護士などの外部の資格者に依頼した場合は遺産の一部を報酬に充当するケースがあります。

相場は特に決まっていませんが、遺言執行する遺産の規模によって変わってくるでしょう。

 

遺言執行者を指定する際の注意点

遺言執行者を弁護士に依頼すれば安心、と思っている人が多いのですが、実はそうとも限りません。遺言書を作成する際に忘れてはならないのは、執行するのはいつになるのかわからないということです。

遺言執行が行われるのは自分が死亡した後の話なので、仮に自分よりも依頼した弁護士が先に死亡していた場合は、遺言執行者に指定していても意味がありません。

そのため、遺言執行者を弁護士に依頼する際には、できるだけ自分よりも若い弁護士に依頼するか弁護士法人を指定するといった方法でリスクヘッジすることが大切です。

法人であっても遺言執行者になることは可能です。

遺言執行者は辞退できる

遺言執行者を親族などで指定した場合、人によっては遺言執行者を辞退するケースが出てきます。遺言執行者については強制ではないので、本人が辞退を申し出た場合はどうしようもありません。

そのため、親族で指定する場合は予め本人の了解をとることがとても重要です。

協力してくれる人がいない場合は、遺言執行を仕事として行っている弁護士などの資格者に報酬を出して依頼することを検討しましょう。

 

まとめ

遺言執行者の指定は義務ではありませんが、指定しておくことで相続発生後の手続きがスムーズになることは間違いありません。

また、一部の手続きについては遺言執行者を指定しなければ実現できない点にも注意が必要です。