相続税 2017.10.29

相続したマンションに相続税はかかる?

家族が亡くなると、自宅などに使っていたマンションを相続することがあります。相続により財産を取得すると相続税がかかることがありますから、マンションの相続税について気になる人も多いと思います。ここでは、相続したマンションにかかる相続税について説明します。

記事ライター:ゆらこ行政書士

マンションを相続して相続税がかかる場合とは?

・相続税の基礎控除とは

相続が発生し、少しでも財産を相続すれば、必ず相続税がかかるわけではありません。相続税は相続財産の額が基礎控除額を超える場合にかかります。

相続税の基礎控除額は、次の計算式で出します。

 

基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数

たとえば、法定相続人が2人の場合、基礎控除額は

3000万円+600万円×2=4200万円

 

となります。

・相続財産が基礎控除額以下なら相続税はかからない

一般に、マンションなどの不動産は金額が大きいため、相続税が課税されるのではないかと気になることが多いと思います。マンションを相続した場合でも、マンションを含めた相続財産の額が基礎控除額以下であれば、相続税はかかりません。法定相続人が2人のケースなら、マンションを含めた相続財産の価格が4200万円以下であれば、相続税の心配はないということです。

 

マンションの相続税評価額はどうやって計算する?

・マンションには土地と建物が含まれる

マンションというと建物だけを所有しているような感覚がありますが、敷地である土地についても所有権などの権利を持っているはずです。マンションといっても、通常は、土地と建物の両方を所有していることになります。つまり、マンションの評価額を算出するときには、土地と建物のそれぞれの価格を出す必要があります。

・マンションの土地には持分がある

マンションでは、1つの土地をたくさんの人が分け合って所有しており、それぞれの人に持分割合が設定されています。そのため、土地の評価額に持分割合をかけたものがマンションの土地の相続税評価額になります。土地の持分割合については、売買契約書や登記事項証明書などで確認できます。

・土地の相続税評価額を出す方法

宅地の相続税評価額は、「路線価方式」か「倍率方式」のどちらかの方法で出します。路線価が設定されている市街地では路線価方式で計算し、それ以外の地域では倍率方式で計算することになります。

路線価方式では、基準となる路線価に、土地の奥行や形状などの条件による補正を加え、対象となる土地の評価額を算出します。倍率方式では、土地の固定資産税評価額に国税庁が定めた一定の倍率をかけて評価額を出します。

・土地の評価額は減額できるケースが多い

自宅や事業用店舗の敷地を相続した場合には、小規模宅地等の特例により、土地の評価額が減額できる場合があります。マンションの土地の相続税評価額を計算するときにも、小規模宅地等の特例を使うことができます。

たとえば、自宅の敷地を配偶者が相続した場合には、小規模宅地等の特例により、330平方メートルまでの部分の評価額が80%減額になります。マンションの場合には、330平方メートルという面積の要件をみたしているケースが多くなりますから、土地の評価額が大幅に減額できる可能性があります。

・建物の相続税評価額を出す方法

建物については、固定資産税評価額が相続税評価額になります。固定資産税評価額は、市区町村で固定資産税評価証明書を取得することで確認できます。

 

マンションを購入すれば相続税対策になる?

・マンションの相続税評価額は時価よりも低い

相続税の負担を軽くするためには、相続財産を減らすのが効果的です。相続財産を減らすということは、相続税評価額を下げるということです。現金を不動産に変えるだけでも、相続税評価額を下げることができます。

不動産の相続税評価額は、市場価格よりも低くなっています。具体的には、路線価は市価の70~80%程度、固定資産税評価額は市価の60~70%程度になります。手元にある現金を使ってマンションを購入すれば、それだけで相続税評価額を減らせますから、相続税対策になります。

・タワーマンションの節税効果

タワーマンションのように階数が多く戸数も多いマンションでは、一戸あたりの土地の持分が小さくなり、土地の評価額が大幅に下がります。また、マンションの場合には、同じ広さなら高層階でも低層階でも相続税評価額は同じになります。そのため、マンション購入により相続税節税をするなら、市価が高いタワーマンションの高層階ほど節税効果が大きくなります。

しかし、明らかに相続税回避を目的としたタワーマンションの取得は否認され、追徴課税される可能性があります。相続税対策のためにタワーマンションを取得するなら、住居にするなどの取得目的を明確にし、目的に従った利用をしておくことが欠かせないでしょう。

関連記事

相続税

高額な不動産しか遺産がない。相続税が払えない時にはどうしたらいいのか?

相続の流れ 相続財産・法定相続人の確定 被相続人が亡くなった後は、相続の手続きを行うことになりますが、まず最優先で行うことは、相続財産の確定と法定相続人の確定です。 相続財産については、「財産目録」を ...

2021/08/25

相続税

可愛がっていたペットに遺産を相続させるができるのか?

「ペットに相続」は有効か? 遺言者の意図は? Aさんには妻や子どもがなく、飼っている3匹の犬が唯一の家族です。高齢になったAさんは、終活をしていく段階で、存命中の2人の兄が自分の財産を相続することに気 ...

2021/08/11

相続税

父の死後愛人の子が現れた!遺産相続はどうなる?

隠し子にも相続権はある?分かれ目は認知の有無 亡くなった人の隠し子の存在が、死亡後にわかることがあります。よくあるのが、相続手続きのために戸籍謄本を集めたときに、認知している子供がいたというケースです ...

2021/07/21

相続税

相続税改正で何が変わった?

相続税改正で、基礎控除が大幅にダウン 今回の相続税改正によって、幾つかの運用が変更になりましたが、中でも最も影響が大きいのが「基礎控除の大幅ダウン」です。相続税は、すべての方に課税されるわけではなく、 ...

2017/10/02

相続税

相続税はいくらから課税されるのか

相続税がいくらからかかるかは、課税対象財産による 相続税の課税対象となるのは、課税対象財産です。そして、課税対象財産とは、相続財産から基礎控除額を引いた金額です。 基礎控除額の計算式は、以下の通りです ...

2017/10/02

相続税

みなし相続財産って何?

みなし相続財産は、相続税の課税対象 みなし相続財産は、厳密には相続や遺贈で取得しているものではありません。 ですが、相続税の課税にあたっては、相続財産とみなして相続税を課税することになっています。 な ...

2017/10/02

Copyright© 相続メディア nexy , 2025 AllRights Reserved.