土地・不動産 2018.12.11
土地を相続した後に売却するなら譲渡所得税に注意!
土地を相続したけれど利用する予定がない場合には、土地を売却して他人に譲渡するという選択があります。土地を売却したときには、税金がかかる点に注意が必要です。ここでは、相続した土地を売却したときにかかる譲渡所得税について説明します。
相続した土地を使わない場合放置していてもいい?
土地の所有者になれば義務や責任が発生
親が持っていた土地を相続により取得することがあります。相続した土地が遠方にある場合などは、土地を使う予定もなく、そのまま放置してしまうこともあり得るでしょう。
土地を使っていなくても、所有者である限り、様々な義務や責任が発生します。土地の所有者には固定資産税が課されますから、税金を支払わなければなりません。
土地の所有者には、土地が安全であるように、きちんと管理しておく責任もあります。土地に生えた雑草や置いてある物で他人に迷惑をかけるようなことがあれば、損害賠償責任を問われることもあります。
相続した土地を使わない場合には、売却してしまった方が、メリットが大きいことがあります。相続した土地は放置しておかず、自分で活用するか、売却するかをしっかりと検討しましょう。
土地を売却する前に相続登記が必要
相続した土地を売却する場合、亡くなった人名義のまま売却することはできません。一旦自分の名義に変更してから、売却手続きを行う必要があります。不動産の名義変更は、法務局で相続登記をすることによって行います。
土地を売却しない場合でも、相続登記は必要です。土地を自分名義に変えておかなければ、他人に貸すなどして活用することができません。そのため、将来売却する段階になって相続登記をしようとしても、スムーズに手続きできないことがあります。
土地の相続が発生したら、早い段階で相続登記手続きをしておきましょう。
土地を売却により譲渡したときにかかる税金とは?
土地の譲渡所得に対して譲渡所得税が課税される
土地を譲渡したことにより「譲渡所得」が発生している場合には、譲渡所得税の課税対象になります。譲渡所得とは、土地の売却代金から土地を取得したときの代金(取得費)、売却の経費(譲渡費用)を差し引いた売却益のことです。
譲渡所得税は、以下の計算式で算出される課税譲渡所得に税率をかけて算出します。土地を売却すれば、必ず税金が発生するわけではありません。
課税譲渡所得=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額
相続した土地については、被相続人が取得したときの代金が取得費になります。取得費が不明な場合には、売却価格の5%を取得費とすることができます。
譲渡費用には、土地の売却のときにかかった仲介手数料、印紙代、登記費用などが含まれます。
譲渡所得税の税率
譲渡所得税の税率は、長期譲渡所得か短期譲渡所得かで変わります。
①長期譲渡所得(土地の所有期間が5年を超える場合)
税率20%(所得税15%+住民税5%)
②短期譲渡所得(土地の所有期間が5年以下の場合)
税率39%(所得税30%+住民税9%)
※さらに、所得税額の2.1%の復興特別所得税が加算されます。
相続により取得した土地を譲渡した場合には、被相続人が土地を取得した日から譲渡した年の1月1日までの所有期間で、長期か短期かを判断します。相続した土地については、税率の低い長期譲渡所得になるケースが多いということです。
譲渡所得税には特別控除がある
譲渡所得税を計算するときには、譲渡所得から差し引きできる特別控除額があります。代表的なものが、マイホームを売ったときの特別控除で、マイホーム特例とも呼ばれます。
マイホーム特例では、居住用財産(自宅の土地・建物)を譲渡した場合に、3,000万円の特別控除が受けられます。
相続した土地が親と一緒に住んでいた自宅の敷地で、相続後に売却した場合には、マイホーム特例により譲渡所得税の負担が軽くなることになります。
確定申告が必要
譲渡所得税が課税されるケースでは、確定申告を行って納税する必要があります。確定申告は、土地を売却した翌年の2月16日から3月15日までの期間に行います。
土地を相続後に売却する場合、節税になる方法とは?
相続税申告期限から3年以内に売却
相続した土地を相続税の申告期限から3年経った日までに譲渡した場合には、支払った相続税額の一部を譲渡所得税の取得費に加算できる特例があり、相続税がかかるケースでは、相続税申告期限から3年以内の売却で節税になります。
相続した空き家はリフォームするか更地にして売却
空き家になっている実家の土地・建物を相続した場合、空き家を耐震リフォームするか、更地にして土地を売却すれば、譲渡所得税の3,000万円の特別控除が受けられ、譲渡所得税の負担が軽くなります。
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